知識というものが生活そのものとかけ離れたることかくの如しのサンプルみたいなものだ
が、考えてみれば、〈ヴォーグ〉のフランス一三-ファッション、〈流行通信〉の日本のナゥ
な流行、婦人雑誌のきらびやかなカラー・ヘージ、村上信夫さんのフランス料理の本、辻留の
お客料理、皆売れているものなのだが、それがそのまま皆々様に即実現されているはずはな
かくあったら良いなあと、羨望の気持ちをこめて皆これらの本を。ヘラペラとめくり、チャ
ーハンとライスカレーとオイル焼きが大得意の主婦は、おいしそうねとため息つきながら、
ほたて貝のグラタンパリジェンヌ風の作り方を横目で追い.バスト・ウエスト・ヒップが全
部均一になってきたおかあさんは、ケンゾーのミニスカートをほれぽれと眺め、新聞・雑誌
と子供の洗濯物、洞爺湖の熊彫と阿蘇登山記念の三角旗と、弾かない.ピアノとビニールの二
人掛けソファに埋まった六畳のリビングルームで、母と娘が素敵ねえと、二十畳くらいのカ
ー。ヘット敷きつめ、モダンな家具が整然と置かれ、壁にモダンなリトグラフのあるカラー写
真を眺める。
こんなことができたらなあという願望と、所詮自分達の実生活とは無縁なのょと割り切る
ことによって一時的にも罪の意識を薄れさせてくれるこの効果は、男達が酒を飲んで大言壮